日本美術院 同人コラム

「光と闇の間」

 

々と変わる夕暮れの空に時間を忘れて見入ることは誰にもあると思います。早朝の移ろいの豊かさも同様だと思うのですが、その時間帯を表す言葉を見てみると少し違います。

辞典で引くと明け方には有り明け方 、払暁 、白白明け 、彼者誰時 、 黎明、朝ぼらけなどが類語で出てきますが、夕方となると、逢魔が時 、薄暮 、黄昏、王莽が時、夕まぐれ、 暮れ紛れ、火点し頃、夕さりなどの言葉が並びます。夜を迎えようとする時間は少し不吉さを含んでいるようです。それだけに多くの物語が潜んでいるように感じます。

学生時代から闇の中に光りを孕む、あるいは闇に光が浸潤するこの時間帯に強い印象を覚えて、日本画ならではの光の表現を追い求めるようになりました。天平彫刻への憧れと重なって人物画を描いてきましたが、光と闇、その狭間にある豊潤な表情は自分にとって最初のテーマと言えるものでした。

院展で賞をいただいた「ゆふまぐれ」や、山種美術館大賞展で大賞を受けた「ゆふまどひ」も偶然と言うべきか、暮れの時間が題材でした。

今も夕方になると近くの川辺に足を運び、その時間を過ごすことがあります。天と地が呼応するように留まることなく光と色が変化し、私の中にも様々な発見や言葉が満ちてきます。古くから芸術に多くの動機を与えてきた情景に違いありません。