日本美術院 同人コラム

「院展出品の思い出」

展出品作のため、以前から描いてみたいと思っていたエンジェルズトランペットを取材し、2人の座る人物と構成して描いた。
花の下には左側に女性を描き、右側の男の子は知り合いに頼んで親戚の子を描かせてもらった。
下地に箔を押し、画面全体に手も入っていたが、途中で中々進まなくなっていった。
特に人物に手が入って行かなかった。
苦しみながら少しづつ手を入れ、搬入の2週間前あたりで先生に絵を見て頂いた。
「右側の男の子は立っている方がバランスが良いんじゃないか?或は居なくても良いぐらいだ」と指摘された。
先生が帰られた後、画面から離れ、しばらく眺めていたら気持ちが吹っ切れた。
すぐお湯を沸かし、男の子を洗って消した。
自分の中でもずっと違和感があったはずなのに、せっかく取材をしたのだから…という気持ちが働き、思い切れなかったのだ。
画面に変化が起きた事でスイッチが入ったように手が入るようになった。
最後は夢中で駆け抜けた感じで覚えていないが、お湯を沸かして洗った時の記憶、タオルで水気を取って一気に植物を描き足した記憶は手元の感じまで鮮明に覚えている。
初めて奨励賞を頂いた作品となった。