院展出品で印象に残ること

が過去の院展制作を振り返った時に、忘れる事の出来ない97年は、秋の院展不出品という辛い思い出とともに、翌年迎える制作の為の準備期間であったと思います。それは、前年に初めて大観賞を受賞させて頂き、「更に良い絵を、」と臨んだ夏でした。いつものように大下図から和紙に転写し、少し色をのせ始めた7月、脳腫瘍と宣告され手術の為制作を断念しました。思えば数年前から斧で殴られたような右目奥の頭痛に悩まされ、職業病と諦めていた時の突然の発見でした。いくつかの偶然が重なり、周りの方々に支えられて得た手術と健康ですが、同時に悔しさと将来への悲観で複雑な日々を過ごす事となりました。翌年は、断念した作品の続きを5月から始め、余裕を持って臨んだ制作でした。久々に向き合う大きな画面でもあり、苦しみながら必死でぶつかり、気がつくと、8月出品ぎりぎりの仕上がりとなっていました。それが二度目の大観賞となった「硝子を透して」写真マークです。今、考えてみると、辛い1年間が自分にとって必要で大切な時間であったかもしれないと、人とのつながりや運命に感謝するようになりました。